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正気に戻ったら負け

ファフナー感想文 〜一期パイロット編〜

 前回書いたファフナー感想の続きです。パイロット第一世代について、アニメや小説、ドラマCDの内容に触れています。案の定長くなってしまいましたすみません………。よろしければお付き合いください!

 

羽佐間翔子

 めっちゃ可愛い子出てきた~~~!!!!とはしゃいでいたら「親に付けられた名前の通りに死ぬ」とかいう絶望を叩きつけてきた子。どうしてそういうことするんですか????人の心がないんですか??????
 容子さんはあんな言葉を遺されたのによく首を吊らずに生きていてくれたなと思っています。今思うと翔子の死がファフナーの洗礼でしたね。

 翔子は優しく控えめで、身体が弱く華奢な、いかにも守ってあげたくなる女の子です。でも実は滅茶苦茶メンタル強靭。
 彼女は恐ろしいほどまっすぐ一騎に恋をしています。無理に登校しようとして動けなくなった翔子を一騎がおぶって連れて行ったのがきっかけ、というのが青春!って感じで可愛いですね。「私の白馬の王子様!」ではなく「王子様の白馬!」となるところがすごく好きです。馬かよ。やっぱりどっかズレてて可愛いな翔子………。
 彼女は「自分を助けてくれた、自分が甘えられる人」として一騎を好きになったのではなく、「自分にはない力強さを持った人、自分がこうなりたいと憧れる人」として一騎を好きになったんですよね。「追い付きたい、一騎くんの側で戦えるようになりたい」と願った。そういうところに翔子のストイックさというか、精神的な強さを感じます。滅茶苦茶頭も良かったみたいですし、仮に身体的ハンデがなかったら相当優秀な人間に育っていたんじゃないかな。
 翔子が献身的な甲洋に見向きもしないのも、こういうところが理由なのかもしれません。彼女は自分を大事に守ってほしい訳じゃないんですよね。本当は強い自分でありたい。自分の意志を通したい。だからこそ甲洋がファフナー乗ろうとした翔子の意志を尊重した時、初めて甲洋に心の底から笑いかけたんだと思います。甲洋にとっては切ないことですが。
 そんな翔子だから「一騎くんが帰る場所を護りたい」という強い想いが生まれたんでしょう。ただ帰りを待つんじゃなく自分が護るんです。このアニメの女の子たちはなんだってこんなに気高くて強いんだ???最高。
 最終的に一騎へ想いを伝えないまま散ってしまいましたが、彼女は一騎との約束を守れたことが一番嬉しかったんだろうなと思います。初めて自分で決めたことをやり遂げて、ずっと夢見ていた通りに空を駆けた。残された人達に大きな傷を残しても、彼女にとっては満ち足りた終わりだったんでしょう。

 小説を読んだ感じだと、翔子のパイロットとしてのポテンシャルは凄まじいですね。
 彼女は度々激痛に見舞われる病気によって痛みや苦しみへの耐性を得ました。病気しがちな人ほど痛みや苦しみに鈍感になるといいますが、彼女のそれは度を超すレベルのものだったようです。小説のパイロット訓練と実戦でのバーサーカーっぷりを見るに、下手に痛みへの耐性がある分自分の体が壊れるまで戦ってしまうタイプだったんでしょう。あそこで死ななかったとしても、戦闘の度に重傷を負うパイロットになっていたんじゃないかな。
 痛みへの耐性、想像力の豊かさ、自己否定によるファフナーとの一体化、そして戦意の源である一騎への恋心。それらが奇跡的に合わさった翔子は、一騎に次ぐ主戦力になれたのかもしれません。ただ、何もかもタイミングが悪すぎた。それだけなのに、それだけで翔子とマーク・ゼクスは失われ、彼女の決死の行動は批判されることになりました。
 翔子が死んだ時の大人の態度は優しい人が多い竜宮島の中では異質に感じますが、あの時の竜宮島ってパイロットが少なかったり新国連に迫られられてたりで結構切羽詰まってる状況なので、そういう人もいるよな………と思います。悲しい話ですが、島民の命もかかっているので。
 あと技師さんが怒るのもわかるんですよね。ファフナーって滅茶苦茶貴重な兵器なのに、いざという時に機体を捨ててでもパイロットを生かす機能をわざわざ搭載してるんですよ(コックピット射出とか)。パイロットだって少なくて貴重というのももちろんありますが、機体よりも人の命を優先する兵器を技師さんたちは必死に作ってくれているわけで。パイロットに機体も命もぽんと捨てられてしまったらそりゃ怒るよな……と思います。
 ついでに彼女の死は総士に大きな影響を与えてしまうんですよね。ドラマCD聞いて吐くかと思いました。総士お前!!!!!!!???????
 ただでさえ仲間を死なせないために厳しく指揮官してた総士が、よりによって翔子が自爆という手段を取ってしまったがために「仲間に自爆を選ばせないため」に汚れ仕事にまで手を染めてしまった。でもあいつならやりかねないというか、彼だからこそできてしまうんですよね。仲間を生かすためなら自分を犠牲にできる男なんですよ、総士………………………(嗚咽)
 翔子の命を犠牲にした勝利は、総士の中で痛みと共に深い傷として残ったんだと思います。

 翔子といえば真矢との関係ですよね。アニメだけの印象だと人に寄り添う真矢だから翔子と仲が良かったのかなぁと思ってたんですが、真矢には昔翔子を死なせかけたという罪悪感があったんですね。そういうの本編で言えよ!!!!滅茶苦茶重要な情報じゃねーか!!!!!
 咲良に突っかかられた時に珍しく真矢が怒ってしまったのは、自分のそういう後ろめたさがあったからだったのかな。一方が罪悪感を抱えた友情って不健全な関係になりがちなんですが、この二人がそれでも親友だったのは翔子が真矢に依存していなかったからなんじゃないかなと思います。翔子は真矢に甘えたり頼ったりはしますが、自分の意志は強く持っています。真矢が心配しても本当にやりたいことはやろうとしますしね。
 シミュレーション訓練で自分の海に飲み込まれかけていた真矢を助けたのは翔子でした。なんだかんだ真矢の方が翔子の強さに救われていたのかもしれません。翔子の存在は真矢の戦う理由にも深く根を張っています。

春日井甲洋

 私の涙腺ブレイカー筆頭。気が付いたら推してました。悔しい。
 一期後半からHAE、EXODUSの登場の仕方は本当にズルいです。マーク・フィアーを見るだけで泣きそうになる私を笑ってくれ。

 アニメの甲洋って一期はとにかく翔子が好きで一騎に嫉妬してるイメージが強いんですが、小説を読むとそれだけじゃないんですよね。頭も顔も性格も良い爆モテボーイでちょっと興奮しました。
 一騎から見た甲洋は「優しくて親切な博愛主義者」ですが、実際はもっと人間臭い子です。甲洋は博愛というよりも「良い人」であろうとする意識が強いんじゃないかな。
 お馴染みのクソ親代表・春日井夫婦の元で育った甲洋には「両親から愛されたい、認めてもらいたい」という気持ちが強くあります。穏やかで人の良さそうな態度は「良い息子」になれば両親が認めてくれるかも、という気持ちから来ていたのかもしれません。
 驚異的な頭脳と記憶力というサヴァン症候群の特質もあって、甲洋はお手本のような「優秀な子供」になりました。頭も顔も中身も良い、みんなの人気者の甲洋くん。でも彼は両親からの愛情も、好きな女の子からの愛情も手に入れることができません。恵まれているように見えるのに、本当に欲しいものは手に入らない子供。両親に愛されている幼馴染や、翔子の想いを独占する一騎への嫉妬は深かったことでしょう。
 それでもドロドロした感情を隠し続けたのは、甲洋の思慮深さと底抜けの優しさ故なんじゃないかと思います。小説では一騎と特に仲が良かったようですし、アニメでも翔子の想いを尊重していました。愛情に飢えていたからこそ、人との関係を大事にしていたのかもしれません。

 そんな甲洋の優しさでできた仮面は、一番大切な存在だった翔子を失うことで崩れ去ります。
 ずっと翔子や一騎のことを想って自分の気持ちを抑え込んでいた分、その感情の反転が大きかったんでしょうね。甲洋は今まで抑圧していた感情を一騎への怒りに変えてしまいました。翔子の死を受け入れられず、感情の行き場がなかったのもあったのかな。そして胃が痛い展開のまま9話へ。
 「一度覚えたことは絶対に忘れない」という才能を持った甲洋に「翔子って、誰だ………?」と言わせるのは本当にエグいですね。丁寧に心を折りにきよる。
 でも彼は翔子という存在を完全に失いませんでした。心から愛していたのに死んでしまった女の子。彼女の存在が「春日井甲洋」という人格に深く刻まれていたからこそ、彼女への想いは彼が人であるためのよすがになったんだと思います。
 フェストゥムになりかけた甲洋は「あなたはそこにいますか」「前はいたが今はもういない」というやり取りで自我を取り戻しました。翔子が死んだ事実を受け入れて「悲しい」という感情が生じた瞬間、甲洋は人間になったのかもしれません。涙を流す彼の瞳は元の色でした。
 総士は物理的な「痛み」によって人間として存在を確立しましたが、それに対して甲洋は「悲しみ」によって人間(というか人間主体の融合体)として存在を確立したんでしょう。存在していなければ誰かから傷つけられることがないように、存在していなければ誰かの死を悲しむことはできませんから。

 彼の心象風景は分厚い氷に覆われた海です。氷は甲洋の本音の蓋であり、彼と彼を取り巻く世界を分かつ壁でもあるのかなと感じています。どれほど渇望しても欲しいものには手が届かず、自分のドロドロした本心を心の底に沈めていく。甲洋の苦しみと諦念が見えて切ないです。
 でも彼の暗い海の下には暖かい海流があるんですよね。どれほどやりきれない想いを抱えていたとしても、甲洋の根っこには温かな優しさがある。
 中枢神経を同化された後、目覚めた彼は「助けてくれてありがとう」「確かに遠見を助けたぞ、一騎」って言うんですよね。フェストゥムに自我をほとんど食われて残ったのは「感謝」と「仲間を守るという意志」だった。これが彼の本質なんだと思います。だからこそ彼は「島のみんなを守る」という翔子の願いを引き継いで戦い続けたんでしょう。
 そういえばスレイブ型の甲洋の体、澄んだ青色なんですよね。「大きな海」を表す名前を持った彼は、海の中で仲間を助け、海の色の体を得たんだな………と気づいて膝から崩れ落ちました。

 HAEでの登場はマジで不意打ちだったので感情を滅茶苦茶にされました。そんなオイシイところで出てくる!?しかもまた「海の中で味方を助ける」んですよ。本当にズルい男です。
 EXODUSではそれまでの展開に絶望感マシマシだったところへ颯爽と(しかも人の体を得て)戻ってきたのでもうダメでした。「確かに助けたぞ」って!!!!!!しかも助けたのマーク・ゼクスの後継機!!!!!!お前!!!!!!ウ゛ワ゛ーーーーッッッ!!!!!!!(号泣)
 ていうかマーク・フィアーの戦闘カッコよすぎませんか?漆黒の機体ってだけでもカッコいいのに、ワームをロングソードに変えて戦うってなんだよそれ。心の中の小学生男児がはしゃいじゃうだろうが。彼のSDPの「毒」については解釈の答えが出ていないので言及は避けます。
 そういえばちゃんと19歳の体になってるんですよね彼。可愛い顔から落ち着いた美形顔に成長したので動揺しました。おいそんなイケメンになるなんて聞いてないぞ。しかも身長も高いの????モデルか?????勘弁してください。
 BEYONDでは楽園で働いてると聞いたんですが、あんな爆モテイケメンが店員してたら楽園に女性客が殺到してしまうんじゃないですか?大丈夫??
 EXODUSではまだ自我がふわっとしていたのかあまり喋ってくれなかったので、BEYONDでたくさんセリフがあることを期待しています。

 甲洋、小説で実は一騎と特に仲が良かったという事実が判明してビックリしたんですが、読み進めていくうちになるほどなぁと納得しました。遠いようで近い立場だったんですね、彼ら。
 果し状を貰う一騎とラブレターを貰う甲洋。スポーツの王者として頼られる一騎と優しい素敵な男の子として好かれる甲洋。どっちも人気者なんですが、一騎が本当に欲しいのは英雄ともてはやされたり賭けのネタにされる名声ではないし、甲洋が本当に欲しいのはたくさんの女の子から捧げられる愛ではないんですよね。でも彼らは「天才」「人気者」として周りの人から悪意なく線を引かれる。サヴァン症候群の子供の中でもわかりやすく異質な才能だったからこその苦悩です。お互いそういうところに共感したんでしょうね。
 でも二人は対等ではなかった。お互い本当に欲しいものは得られない、でも一騎は甲洋が欲しいものを持っている。親からの愛も、好きな子からの愛も。何事もなければ表面上だけでも保っていられた二人のバランスは、翔子の戦死によって完全に崩れてしまいました。それまでの甲洋の我慢を思えば無理もないんですが、一騎にとって親友と思っている友達から憎まれるのはしんどかっただろうな………。
 甲洋が「仲間を守れなかったお前とは違う、俺は仲間を守る」と宣言した通りに仲間を助けて一騎の目の前で同化されてしまったの、一騎の自己嫌悪に凄まじい勢いで拍車をかけたんじゃないかと思います。元々底無しの自己否定を抱える一騎は、二人を守れなかった自分を責めるばかりで、友達の死をちゃんと悲しむことができていなかったのかもしれません。
 その後甲洋は、翔子の死を受け入れることで一騎への怒りを悲しみに昇華しました。翔子の死を受け入れられなかった甲洋も、死なせてしまった後悔に苛まれていた一騎も、「何故守れなかった」と問うのではなく、ここでようやく彼女の死を受け入れ悲しむことができた。彼女を想って泣くことができた。よかったね………。

要咲良

 姉御可愛いよ姉御。気が強いけど実は女の子らしい繊細さを持っているところがツボです。
 彼女も本編通して成長が著しいキャラクターですね。本当に生きててくれてよかった………。

 武道のお家の生まれらしく、咲良は真面目でストイックな性格です。サヴァン症候群による才能もありますが、彼女の自信は積み上げてきた努力に裏打ちされたものなんでしょう。その努力の成果を天才的な資質を持つ一騎にへし折られたんだから、咲良にとっては屈辱だったでしょうね。そりゃあ闘争心を燃やすってもんです。
 彼女は常に心身共に強く逞しくあろうとします。武道家であり警察官でもあった父への憧れ故でしょうか。その意識が強いあまりに自分の弱みを見せようとしません。というか自分の弱さを認めたくなかったんでしょうね。だから人の心を敏感に察してしまう真矢のことが苦手だったんだと思います。真矢への態度は、自分の心の弱い部分を覗かれることへの防衛反応だったのかも。
 意地っ張りな自信家ですが、本当は父のような自分より強い存在に守ってほしいという気持ちを抱いていました。世話焼きで人に上手く甘えられない子なので、「誰かを頼りたい」という欲求がそういう形で育っていったのかな、と思います。

 しかし彼女は憧れであり精神的支柱だった父を殺され、仲間も失うことになります。負けん気の強さは敵への憎悪と復讐心に変わり、余計に弱みを見せられなくなっていった。
 咲良は敵に同化されかけたことで初めて死への恐怖と向き合い、自分の弱さを認識したんだと思います。憎悪だけで突き進んでいた彼女は、ようやく足を止めて周りを見渡せるようになった。敵が恐ろしい存在だということ、自分は命を賭してそれと戦っているということ。そしてそんな自分を心配する母親や、自分を守ろうとする仲間の存在。そういったものに向き合えた。
 ここから肩の力を抜けるようになったのか、態度が柔らかくなりましたね。序盤は距離があった真矢とも仲良くなれたようですし、剣司ともいい感じでニッコリ。中合わせで手を繋ぐ両想い恋人未満の少年少女、可愛い~~~~~~!!!!

 その矢先に同化現象ですよ。本当にこのアニメは容赦がないな。狂い咲きの桜が散る中で咲良が同化されていくシーン、ぞっとする演出です。
 心が消える間際に咲良が呼んだのは、お母さんではなく剣司でした。咲良はとっくに剣司に心を許していたんですよね。意識を失った後も剣司の手を握る咲良が切なかったです。
 咲良回復時の描写はありませんでしたが、彼女は意識が戻った途端に何もかもが変わっている現実を突きつけられます。自分が死にかけている間に戦いは終わっていて、大切な幼馴染だった衛はもういない。一緒に合宿をした優しい先輩も死んだ。幼馴染の母親も、お世話になっていたメカニックも、見知った人たちがたくさんいなくなった。そして彼女の前には変わってしまった剣司がいる。
 咲良が倒れ、衛を目の前で殺され、一度は戦いから逃げて家族も失った剣司。「誰かを守るために戦う」と決めた剣司は、ただのお調子者で臆病な少年ではいられなくなりました。全ての事情を知った後、咲良は「剣司を支えよう」と思ったんじゃないかと思います。「しょうもない奴」だと前を歩いて腕を引くんじゃなく、隣に立って守ろう、支えようと思ったのかもしれません。EXODUSで剣司のコーヒーを奪い取って「一緒に背負わせな」と言い放つシーン、滅茶苦茶心が震えました。姉御……!!!
 一期からEXODUSに至るまでの間に自分の弱さを受け入れたこと、その上で戦う決意をしたことで、咲良は大分精神が安定しましたね。足が不自由なこともあり変性意識もポジティブなものに変わっています。元気になれて本当によかったね、咲良………。

 EXODUSで剣司と結婚した後、咲良は「あたしも乗るわよ、まだ電池切れじゃない」と言います。「電池切れ」という言葉を最初に言い出したのはあのクソ親ミツヒロで、子供たちを消耗品であるかのように語ったのが発端なんですよね。咲良が倒れた後ですが、剣司も「俺たちはただの電池なんだ」と残酷な事実に絶望していました。
 でも咲良はあえてこの言葉を使います。「自分はファフナーを動かす電池である」という事実を受け入れた上で、むしろそれ故に戦えるのだと決意を固めたのかもしれません。死にたくないと泣き叫んだ彼女は、それでも寄り添う人のために戦うことを選んだ。大切な人と、仲間と生きるために。本当の意味で強くなりましたね。
 このシーンでニーベルングの指輪の跡が付いた二人の手に結婚指輪が光っているの、死の運命を二人で超えようとする暗示のようで胸が熱くなりました。

 咲良はやっぱり一期の三人組の関係が可愛いですよね。ちょっと情けない男たちと強気な女の子の組み合わせ大好きです。
 初期の咲良にとって剣司や衛は「世話を焼いてやらなきゃいけない舎弟」みたいな存在でした。でも実際はこの頃から剣司や衛に支えられていたんじゃないかなと思います。
 この三人、姉御肌の咲良、お調子者の剣司、おっとりした衛と友人関係的にもバランスのいいんですよね。気を張りがちな咲良が肩の力を抜くために二人が必要だったんだと思います。まだまだお馬鹿ですが剣司は剣司なりに咲良の力になろうとしていましたし、衛は何があっても二人を守ろうと決意していました。なんだかんだ強がりな咲良を支えようとする人は、最初から彼女の周りにいたんですよね。そういう魅力がある女の子なんだと思います。

近藤剣司

 本作一成長した男。作品が違ったら主人公ポジションにいるキャラクターだと思ってます。一期からEXODUSまで視て滅茶苦茶好きになりました。良い男になったな、剣司………。

 剣司は明るくて調子が良いクラスに一人はいる少年です。呆れられながらも親しまれるタイプですね。
 お馬鹿だったり大ボラ吹いたりファフナーに乗れば臆病になったりと、初期は頼りなさというか精神的な弱さが目立ちました。でも剣司のメンタルってごく一般的な人間のレベルだと思うんですよね。周りの人間にメンタル強者が多いだけな気がします。一騎や総士は言うまでもなく、真矢や翔子や衛も穏やかなようで実は頑丈な精神を持っていますし。剣司の強さ、剣司の魅力は「弱さからの脱却」にあります。

 一期の剣司は突然降ってきた非日常に素直に動揺し、それを受け入れられませんでした。束の間の日常にいる時が一番生き生きしていましたね。平和と文化を保存するために竜宮島を作った大人たちにとっては「こうなってほしい」という願いを正しく叶えている子供だったのかもしれません。真矢が「日常を忘れない者、非日常に身を置く者の帰る場所」として日常の象徴だったのに対して、剣司は「日常の中で生きる者、日常を愛する者」として日常の象徴なのかな、という印象でした。
 彼が日常を愛するのは変化を恐れているからです。シミュレーション訓練での心象風景は、綺麗なサンゴ礁がある温かくて穏やかな海でした。心象風景の中で剣司は「ずっとここにいたい、ここから動きたくない」と言っています。彼の内面って意外と消極的なんですよね。
 初期の剣司は咲良のように家族を殺されたりしていないし、一騎のように誰かへの罪悪感や自己否定も抱えていないし、衛のようにヒーローに憧れたりもしていません。積極的に戦う理由がないんですよね。母子家庭ですが母親には叱られつつも愛をもって育てられたようですし、咲良や衛のような仲の良い友達と平和に学校生活を送っていました。そりゃ変わらない日常にいたいと思いますよね。自分も仲間も死ぬかもしれない戦場になんか行きたくないです。
 でも剣司は戦いに参加しました。大事な女の子である咲良を支えるために。ただその一つの想いだけで、嫌だ怖いと思いながらも剣司は戦えるんです。どんなに自分が臆病でも、大切な人のためならそれを捻じ伏せて戦う男なんです。後々育つ剣司の強さの本質はこれなんでしょうね。カッコいいぞ剣司。
 剣司は咲良だけじゃなく仲間のことも大事にしています。カノンに銃を向けた時も当てるつもりはありませんでしたし、自分より遥かにシビアな戦場を経験してきた道夫にも「あんたが同化されかけたら助けてやるよ!」なんて言ってのけます。どんな状況でも仲間を助けること決して諦めないんですよね。彼のそういう優しさと強さに、人類軍で仲間を殺さなければいけなかった道夫とカノンは救われたんじゃないかと思います。
 剣司は戦いが進む中で(衛のアシストもあって)咲良が頼れる、咲良を守る男になるために腹を決めます。少年漫画の主人公のような成長を感じますね。彼の真っ直ぐな心は眩しさすら覚えます。

 いい感じに成長していた剣司ですが、そんな彼の心は咲良の同化現象と衛の死によってぽっきり折れてしまいました。ごく正常な反応です。大切な女の子が生死の境をさ迷い、親友が死ぬのを目の前で見てしまったら、普通すぐに「仇を取ってやる!」なんてなりません。平和な日常を愛していた剣司は、その日常の中心にいた存在を戦いによって失ってしまったんです。何もかも嫌になって逃げだして当然です。
 でも敵は去ってくれないし戦いが都合よく終わることもありません。剣司が戦線から離脱してる間に、彼はたった一人の家族である母親も失ってしまいました。なんでそこまでするんですか???????彼まだ中学生なんですけど???????
 仲間が死ぬのが怖い、自分が死ぬのも怖い、それで逃げ出しても結局周りの人たちが犠牲になっていく。そのまま目と耳を塞いで現実から逃げ続けることもできました。でも剣司は、誰かを守るために恐怖も絶望も押し殺して戦うことを選びます。優しい彼はどうしたって身近な人たちを捨てられないんですよね。立ち上がるきっかけになったのは、どんな時も仲間を守り続けた衛の存在だったのかもしれません。
 剣司の戦う理由は、漠然と抱えていた「咲良を支えるため」というものから「誰かを失わないため」に固まっていったんじゃないかと思います。穏やかな日常に包まれていた剣司の少年時代はここで終わったんでしょうね。

 一期後半からHAEではまだ敵にビビっていますが、HAE後半から剣司は一切恐れを見せなくなります。戦闘経験が浅い後輩ができたからですかね。彼は守るべき存在ができるほど強くなれる男なのかもしれません。里奈のコクピットを救出して広登に渡した時の「絶対離すなよ」が死ぬほどカッコよかった。彼の成長が嬉しくもあり、弱いままでいられなくなったことが切なくもあります。
 もともとあった戦闘センスも磨かれてファフナー部隊の重要なフォロー役になりましたね。アハトの重火器戦は本当にカッコいい。剣司はあまり死亡フラグを立てないから剣司が助けに来ると安心すらします。ずっと生き残っててほしい。
 EXODUSでは不在の総士に変わってジークフリードシステムを使っていました。総士の同時処理能力で操作していたシステムを直感力で操作するの、なかなかの離れ業では??剣司って本気を出せば滅茶苦茶有能なやつだったんですね。一期じゃ勉強不得意そうだったのにしれっと医学の道に進んでるし。恐ろしい男………。
 指示役としてしっかり活躍しているので、案外生徒会長は向いていたのかもしれませんね。
 そういえば剣司、よく考えると総士に近い立場なんですよね。片親を殺されているところとか、みんなの指揮を執る立場にいるところとか。現時点でジークフリードシステムを経験してるのは二人だけですし、一騎とは別の意味で剣司は総士の理解者になれたんじゃないかと思います。だからこそ総士も剣司の指揮の元で伸び伸び戦えたのかも。総士がちょっとだけ甘えられる貴重な仲間だったのかもしれません。

 剣司といえば咲良との関係ですが、EXODUSではついに結婚まで漕ぎつけててスタオベしました。ありがとう………おめでとう………切ないけど………。
 結婚間際で死んだ男がいたのでちょっと怯えていたんですが、そういうフラグがなくてよかった。CMを見た感じだとBEYONDではベビーがいるみたいですね!?可愛い~~!!!!(EXODUS見るまであれが剣司だと気付いてませんでしたすいません)
 剣司、EXODUSで感覚がなくなるとか温度を感じなくなるとか結構エグい同化現象を抱えてますけど今後どうなるんです???治りますよね???このままだと生まれた我が子の柔らかさも体温も感じられないとかいう地獄が待っているんですけど????剣司、頑張って治療法を見つけてくれ………頼むよ………。

小楯衛

 名前の通りに死ぬキャラその2。一期視聴中の私の心をバキボキに折った子。死亡シーンがあまりにもキツ過ぎて、今まで死んだキャラそれほど残酷な死に方じゃなかったな……とさえ思いました。まぁこの後これを上回るトラウマを植え付けてくる男が出てくるんですが。
 彼が後に残したものはすごく大きいと思っています。

 衛はおっとりしていて優しい癒しキャラですね。集団の中に一人は欲しいタイプです。あと顔がふくふくしてて可愛い。声も斎賀みつき。可愛い。
 強気な咲良やお調子者の剣司といつも一緒にいるので目立つタイプではなかったようですが、なんだかんだ思ったことは素直に口に出すマイペースさがあります。どうでもいい話してる時とか割と人の話聞いてないよね。個人的に夏祭りでカノンにゴウバインのカッコいいポーズを教えるシーンが滅茶苦茶好きです。
 おっとりマイペースな衛ですが、結構思慮深い子だと思っています。彼の優しさは気の弱さ由来のものじゃなく、相手のことをちゃんと考えているからこそのものなんじゃないでしょうか。

 ドラマCDで「剣司たちに無理に付き合う必要はない」と言う一騎に、衛は無理に付き合ってる訳じゃないこと、剣司が訓練に参加した本当の理由を語ります。剣司のことをよく理解しているんですよね。もちろん咲良のことも。彼らが本当は強い人間ではないこと、でもちゃんと戦う理由を持っていることを理解していました。その上で使命感とかではなくただ「二人が好きだから」一緒にいた。彼は使命感とか義務感とはあまり縁がないんですよね。「自分がどうしたいか」が行動の主軸になっています。
 総士にフォーメーション変更を提案された時も、「剣司と咲良の三人がいいや」と断っていました。二人を支えなきゃいけないからとかではなく「僕が二人と一緒にいたい」という衛の気持ち、本当に純粋な友情が眩しくて目を焼かれます。気を張っている咲良や調子に乗りすぎる剣司は、そんな彼を信頼して甘えていたのかもしれませんね。

 衛は愛読している漫画「機動戦士ゴウバイン」のヒーローになりきって戦闘に出ていました。自分はヒーローだという自己暗示があるからこそ強気な戦い方ができた。そんな彼は、ゴウバインの作者が自分の父・保だと気付いてしまいます。
 アルヴィスで働く父がロボットに乗って戦う少年の漫画を描いていた。衛の立場からすれば、この事実は「自分たちを戦闘員として教育するために描いていたんじゃないか」と取ることもできます。多分普通の息子だったら怒るか失望してるかもしれません。
 でも行美ばあちゃんの話を聞いた衛は父を責めなかった。保がアルヴィスの人間として第二種任務をしていたのではなく、ただの一人の父親として息子を喜ばせるために漫画を描いたことを信じました。ディスコミュニケーションな親子が多い中、小楯家は放任なようでいてちゃんと親子間の信頼が築けていたんでしょうね。衛は正しい形で父の愛情を受け取りました。

 この父の想いが彼の心に変化をもたらします。衛は訊かれなければ積極的に自分の意見を言うタイプではありませんでしたが、自分の意志をはっきり口にするようになりました。剣司には咲良へ気持ちを伝えるように言い、「自分が二人を守る」とまで宣言します。戦う理由が「二人と一緒に居たい」から「仲間を守る」に変化したんでしょうね。自分で決めたことを貫く意志の強さがここで目覚めたようです。
 衛はゴウバインという仮面を被って戦うのを止め、「小楯衛」として誰かのために戦うようになりました。ヘルメットによる自己暗示がない戦闘は心底恐ろしかったでしょう。それでも彼は逃げ出すことなく、命が散る瞬間まで戦い続けます。彼の生き様は本物のヒーローでした。
 衛が示した意志の強さ、そして何があっても仲間を守ろうとする姿は、遺された剣司やヘルメットを継承した‪広登‬にも受け継がれていきます。もし彼という存在がなかったら、今のファフナー部隊はもっと脆弱だったかもしれませんね。

 ファフナー搭乗時、咲良は憎悪、剣司は臆病という変性意識を得ました。ここで衛が先導タイプになる変性意識(というか自己暗示)だったのは意外でしたが、いざという時暴走しがちな咲良や臆病になる剣司を良い感じに補っているんですよね。つくづく衛は縁の下の力持ちです。
 衛を失うことでこのバランスは崩れ去りますが、剣司は「衛みたいに強くなりたい」と願い、咲良はその剣司を支えようとして前を向きました。一期の不安定さは影を潜め、二人はお互いや仲間を守るために戦うようになります。死んでしまってもなお衛の意志は二人の中で生き続けているんですよね。
 彼の存在は近藤夫婦や仲間の中にいつまでも残り、先を照らす光になるんじゃないかと思っています。

カノン・メンフィス/羽佐間カノン

 一期後半で滅茶苦茶好きになり、EXODUSで心をメタメタにされました。生き様がただただ美しい子。EXODUS17話EDで体中の水分干からびるかってくらい泣きながら「愛すること」をiTunesで即購入したのはいい思い出です。
 彼女はこの作品の中で剣司に次いで成長したキャラクターだと思っています。

 カノンは一騎たちが初めて出会った人類軍のパイロット。クールな軍人でしたが、作中屈指の人生ハードモードキャラでもあります。
 竜宮島は偽装鏡面によって軍備を固めた上で平和を保つ余裕がありましたが、カノンは自分や家族の命を守る術すら持たず、ただ蹂躙されるしかない環境で生まれ育ってきました。一期では島の外の状況について詳しく説明されませんでしたが、EXODUS(長尺版)を見ると改めてカノンの生きてきた世界の悲惨さがよくわかりますよね……。
 道生がカノンのことを気にかけていたのは、自分が助けた命だからとか自分の部下だからというだけでなく、自覚のないPTSDを抱えている彼女を心配していたからなのかもしれません。

 家族や友達を殺され、あの幼さで兵士になったカノン。家族の仇を取るとか、自分のような人を救うとか、前向きな心による決断ではなかったんでしょう。後に一騎に見抜かれた通り、彼女は大事な人達を失った悲しみに耐えられず「消えたい」と願っていました。
 命令に疑問を持たず従うのも、自分の命を投げ出してしまえるのも、自分という存在を消してしまいたかったから。「どこにもいない」カノンは自分を空っぽの器だと思っていたのかもしれません。
 でも人間ってそう簡単にいなくなれないんですよね。それをカノンに教えたのは一騎でした。
 カノンとなんとか話をしようとする一騎の質問、一見不器用にも見えるんですが、滅茶苦茶的確なところを突いています。生まれた国や家族は自分のルーツであり、自分という存在を定義する重要な要素ですから。
 カノンとの対話の最後に一騎は「カノン」という名前の意味を尋ねます。彼女は自分に与えられた名前の意味を、母の想いをちゃんと覚えていました。結局はこれが答えなんですよね。
 名前は生まれて初めて他者から与えられる自分の定義であり、自分と他者を区別するために必要不可欠なものです。名前があるということは存在していることの証明でもあります。それを手放さず、与えられた名前の意味を忘れられなかったカノンは、最初からいなくなることなんてできていなかったんです。彼女が空っぽだと思い込んでいた器には、まだ大切なものが残っていました。

 竜宮島に迎え入れられたカノンは、今までになかった価値観に出会います。竜宮島の平和はカノンにとって未知との遭遇ですが、彼女は少しずつそれを受け入れていきました。道生が言う通り根が素直で可愛いですね。
 敵だった自分を養子として迎え入れた容子さん。同世代との学校生活。仲間との合宿。何があっても仲間を見捨てないパイロット達。そして死者を弔う灯籠流し。竜宮島が大切にしているもの、島に生きる人達の想いは、カノンの器を少しずつ満たしていったんでしょう。竜宮島からたくさんのものを受け取った彼女は、自分の意思で島を守ることを決めました。体にフェストゥム因子を打ち、彼女は竜宮島を自分の居場所として定めます。
 一期の蒼穹作戦時、フェストゥムに対して「前はいなかった。でも今はここにいる!」と言い放ったシーンがアツすぎて泣きました。カノン、成長したね………。

 カノンの心象風景は海を渡る船です。最初の頃の朽ち果てた船は、ベイバロンを壊され戦う術を失った彼女の無力感を表していたようです。抜け殻のまま海を彷徨う船は、大切な人々を失って空っぽになりかけていた彼女自身でもあったのかもしれません。
 カノンは船の周りを漂う火をヤコブの火」と言いました。海で迷う者を導く死者の魂。その一つ一つが今は亡き大切な人達であり、船の先に灯る火は彼女の母です。この光景こそがカノン自身自覚していなかった本心なんですよね。
 いなくなりたいと願いながら故郷や母から貰った名前を捨てられなかったように、カノンが失ったものは彼女の中に生きています。故郷の人々や家族、竜宮島で亡くした人々が、彼女に馴染み深い聖書の伝承の姿を取って彼女を導いている。彼女は自分の故郷や周りの人々を心から愛していたんでしょう。そして愛したものが失われてもそれをずっと覚えている。それこそが彼女の強さであり、底抜けの優しさです。
 そういえばドラマCDではカノンと剣司の心が似ていると言われていましたね。最初はどの辺が?と思っていたんですが、「自分の居場所を大切にする」という点では確かに似ています。
 剣司は家族や友達がいる平和な日常を自分の居場所として定めています。それは珊瑚礁の海の形を取って現れ、そこを荒らされることを酷く嫌がっていました。カノンの心象風景の船は最初ボロボロでしたが、竜宮島に馴染むにつれて綺麗で立派な船に変わります。小説によると船の中からは賑やかな声すら聞こえるようです。カノンの船は、剣司の珊瑚礁と同じく彼女を取り巻く環境の表れなんですよね。自分の居場所を守ろうとする気持ちが強いところが二人の共通点なんでしょう。

 竜宮島の人間になったカノンの心の中心にいるのは一騎の存在です。彼女に「ここにいる」ことを思い出させた人間であり命の恩人でもあるので、そりゃ特別にもなりますよね。おまけに奴は無差別攻略王。カノンは淡い恋心を抱いていました。
 カノン、聡い子なので真矢の気持ちに気付いた上で身を引いてるのが切ないですよね………真矢のことも大好きですし、自分が一騎にできることがあまりないということを理解してしまっているのがつらい。一生懸命ファフナーに乗るなって言っても聞かないしな一騎。カノンはいっぺん一騎を殴っても許されると思います。
 HAEの小説では一騎に振り回されまくっていましたね。ドヤるカノンとか照れるカノンとか思わぬ反撃食らって撃沈するカノンとか死ぬほど可愛くて冲方先生に足向けて寝れないんですけど、それにしても一騎!!!!!!!お前!!!!!!!!この野郎!!!!!!!!という気持ちでいっぱいです。タラシ台詞に次ぐタラシ台詞。「首輪でもつけてやろう」「それはいいな、今度頼む」って会話なんなんだよ。「それはいいな」ではないが???????何なのお前?????????あまりにもむごいタラシっぷりに草も生えない。
 剣司に「あんまりカノンをいじめてやるなよ」って言われてるのは笑いました。本当にカノンは一騎を殴ってもいいと思う。というか殴らせてくれカノンの代わりに。

 EXODUSのカノンは、新たに発生したSDPとして未来予知の能力を得ます。カノンのSDPあまりにも重すぎでは?と絶望したんですが、今考えると意志の強いカノンだからこそ乗り越えられる能力だったのかもしれません。
 滅亡の未来の中で戦い続けたカノンが見たのは、カノンと一騎だけが生き残る未来でした。みんなの分まで一騎と二人きりで生きる。カノンが心のどこかで望んでいた未来です。でもその未来をカノンは受け入れませんでした。彼女が何よりも守りたかったのは自分の恋心ではなく、みんなが生きる竜宮島だったから。
 夏祭りの日、一騎に貰った飴を嬉しそうに頬張るカノン。ショコラを優しく抱きしめるカノン。喫茶楽園で花火を見つめるカノン。何もかもに満足した彼女の微笑みが綺麗でベチョベチョに泣きました。「愛すること」が流れる中、花火を背景に一騎の幻と向かい合うシーンがあまりにも綺麗で、涙を流す彼女がただただ綺麗で。
 彼女が最期に残したのは容子さんへの「ありがとう」、仲間への「さよなら」、そして誰にも届かない「好きだよ、一騎」という告白だけでした。カノン…………………君は…………君の生き様は綺麗だ………………………(号泣)
 カノンは一騎に会うことなく逝ってしまいましたが、その命は島のコアに還っていきました。彼女の居場所であった竜宮島に祝福されたんですね。よかったね、カノン…………(嗚咽)
 彼女の命は竜宮島に、一騎たちの心の中に残り続けるんでしょう。そして彼女が残した新しい機体は、竜宮島を終わらない未来へ導いていきます。ヤコブの火のように。


 アニメ一期のメインキャラ、本当にみんな大好きなんですよね。アニメ見直したり小説読んだりドラマCD聞いたりしてみて、改めてそれぞれの魅力を再発見できた気がします。
 本当は乙姫ちゃんとか来栖操とか後輩たちとか他にも語りたいキャラがまだまだいるんですが、文字数がえらいことになってしまったので気が向いたら別の記事にします。
 長々お付き合いいただきありがとうございました!!ではBEYOND行ってきます!!!

 


 p.s. これ書いてたら辛抱たまらなくなってBEYONDの香水全種ポチってしまった